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広尾町ふるさとワーホリ Nくん

2021年11月11日~27日 実習感想

11/11から11/27の期間で広尾町ふるさとワーキングホリデーを利用し、マドリンさんの牧場で酪農体験をさせていただきました。

全く牛に触れたことのない自分を受入れてくださり、本当にありがとうございました。

今回の2週間ちょっとの酪農体験を通して、感じたことについて書かせてもらいます。

【マドリンさんのところに行くまでの酪農のイメージ】

マドリンさんのところに行くまでの私にとって酪農は、365日休みがなく仕事が大変というイメージが強く、牛に関しても出かけた先で見かけて「あ!牛がいる~」くらいでしか思っておらず、自分の生活からは遠い存在でした。さらに言えば、私は犬も猫も触ることができず、自分が動物のことを好きなのかどうかも分かりませんでした。

私は、今年の4月に札幌に来たものの、コロナの影響で現場を見る機会がありませんでした。そのため、今回のマドリンさんのところへ行くのが北海道に来て初めての現場でワクワクと不安を抱えて広尾町に行きました。

【酪農の作業について】

牛舎の清掃、餌押し、搾乳、寝藁入れ、子牛の餌・ミルク・水やりを中心に、子牛・乾乳牛の移動もやらせてもらいました。

どの作業も初めてでした。まず、作業の多さにびっくりしました。それでも、マドリンさんがやり方を丁寧に教えてくれ、少しずつ作業にも慣れていくことができました。

酪農の日々の作業で1番感じたことは、文字でみれば毎日同じ作業をしているようにしか見えませんが、牛たちは毎日毎日違った反応(スコップに興味を示してなめてきたり、どこかかゆいのか暴れてみたり、自分が通るとずっと眺めてみたりと)を見せてくれるので、作業としてこなすものではないと強く感じました。私は、これを楽しんでいました。特に、子牛たちの反応(朝はおとなしかったのに、午後はすごく元気に跳ねている等)は全く予想ができず、今日はどんな反応してくれるのかな?と毎日楽しく子牛のお世話をしていました。

私は、餌押しを毎回任せてもらっていて、そこでは、牛さんたちがどの範囲までなら食べてくれるかな。食べやすい場所はどこかな。と毎日やっていくなかでだんだんと分かってきて、朝の餌押ししたあと午後の餌の片付けをするまでの間に餌が余ることなく食べきってもらうことができたら最高だなと思い、毎回餌押しをしていました。

【マドリンさんの熱い想い】

マドリンさんは、「牛を健康に飼う」これが根本にあって、常に作業中に牛のことを気にしており、「えさ食べてないな。元気ないな。」等に目を向けてすぐにその牛に対応している姿からその言葉の意味が目と肌で感じることができました。このベースがあって、他の酪農家の方もマドリンさんのところはすごいからと評価されているように「牛の持つ能力を最大限に活かす」をかなり意識していました。マドリンさんは、乳量を気にかけており、それが次第に自分にも移ってきて、搾乳作業中に「この牛は、30㎏超えましたね。」なんていう会話をしていました。

全ての仕事が終わったあとに、マドリンさんの牧場の牛たちが出してくれている牛乳を飲んだら、牛乳パックの牛乳とは比較にならないくらいに牛乳の風味がすごく衝撃的でした。

マドリンさんからの言葉は、広尾町愛・酪農愛にあふれており、広尾町の酪農を盛り上げたい!もっとみんなに知って欲しい!という想いが強いのだと感じました。その想いから、会やラジオへと活躍の場を広げています。このようなことができる背景には、牛を健康に飼っているからこそ実現できていると強く感じました。マドリンさんは、広尾町の牛乳は乳質が良いと昔から言われてきているし、少しでも酪農家のモチベーションにつながるのではと思って「いつか広尾牛乳を作りたい!」と言っており、このことは生産者が減少していく現状において、少しでも酪農をやりたい!町民に飲んでもらいたい!その牛乳を飲んだ人が自分も牛乳生産してみたい!と思える1つのきっかけになるのではないかと楽しそうに話しているのがすごく印象的でした。実現までには課題もあるかもしれませんが広尾町酪農に大きな意味がある取組みになるのではないのかと期待してしまいます。

【私が1番他の人にも知って欲しいと思ったこと】

上の、マドリンさんの熱い想いで書こうと思った内容なのですが、どうしてもここだけは伝えたいと思ったので分けさせてもらいました。

現在は、広尾町で生産された牛乳は隣の大樹町にある雪印に集められ、さけるチーズ等に加工される加工原料乳となっていると知りました。今回の体験で1番印象に残った言葉なのですが、酪農家の安定的な収入確保のため仕方ないし、ホクレンは頑張ってくれていると言った上で、「酪農家として作った牛乳が牛乳として消費されないことが少し寂しい」と言っていました。この言葉を聞き、普段なにも考えずにスーパーで牛乳を買い、それを飲んでいた自分は牛乳を作っている酪農家の想いは無視して飲んでいたのかと思うと、これまで値段だけを見て買っていたことがバカバカしいと思いました。

私たちが買っている牛乳パックの裏には、本当であったら牛乳として飲んで欲しいと思っている酪農家がいるなかで、一部の酪農家の牛乳がたくさんの酪農家を代表してスーパー等で販売されている事実があると分かりました。その牛乳1本には、酪農家みんなの想いが詰め込まれているのだと感じ、酪農家のことを少しでも思い浮かべて牛乳を飲むことができたらいいのかと思いました。このことは、たったの2週間ちょっと酪農に関わっただけでなにが言えるかと思われるかもしれませんが、生産現場と消費の距離が離れすぎている現代において、牛乳生産現場を知らない消費者たちに伝えなければならないことだと強く感じました。

【マドリンさんに関わるたくさんのひとたち】

今回の滞在中に、マドリンさんの牧場に関わるたくさんの方にお会いすることができました。酪農コンサルタント・普及員さん・獣医さん・農協職員等様々な専門的な知識・技術を持つ人たちにお会いすることができました。他の職業にも言えることですが、酪農は1人でできるものではなく、酪農に関わる様々な人がいて初めて成り立っていることを、今回の滞在で感じることができました。その関わる人たちも牛が好き!という気持ちが強く、もっと酪農業界を良くしたいと思っている方たちばかりで、それぞれの熱い想いを聞くことができました。紹介してくださったマドリンさんには本当に感謝ばかりです。

【おわりに】

今回は、ワーホリを利用する前に1度、別の件でマドリンさんのところを訪れる機会を頂き、マドリンさんのことを知ることができました。そこで、周りからの後押しもありましたが(かなり周りの方に圧倒されました笑)、自分でももう一度行きたい!と思い、マドリンさんのところへ行くことができ、貴重な体験をたくさんさせてもらいました。マドリンさんは、かなりクタクタだったと思いますが、それでも一緒に酪農家のところ行く?農協行く?ラジオ行く?等と酪農の現場だけでなく、マドリンさんが関わる方たちにたくさんお会いさせてもらい、その人たちの考え・意見を聞くことができました。今回お会いしたすべての方が温かく、嫌な顔せずに質問に答えてくださり、すごく嬉しかったです。

生産現場に目を向けた研究がしたいと思っていましたが、これまで実際の現場で生産者の方たちと一緒に作業をする経験がありませんでした。生産者の方たちからお話を聞く機会は何度かありましたが、そのときは研究に必要なことは何なのかばかりを考えて調査項目を立てていました。これからは少しだけでも酪農生産に関わったことで生産者の気持ちを踏まえた聞き取りができるのではないかと思っています。

今回の体験を通して、これまで酪農にあまり興味のなかった自分がマドリンさんをはじめ、たくさんの方たちのお話から、酪農って経営者が変わればやり方・考え方が全く異なるし、酪農家を支える方たちも皆真剣な顔をして牛と向き合い、酪農家と同じくらいに牛のことを大切に想い、アドバイスをしていることを自分の目の前で見せてもらい、酪農がこんなに奥が深くておもしろい!と気付くことができ、酪農に興味を持つことができました。大学院の研究では、これから課題を明確にし、酪農に関して研究したいと思えるようになりました。今回こうしてマドリンさんのところで学ばさせてもらったことを活かした研究をし、それがマドリンさんに還元できれば最高だなと思っています。

今回は、本当にありがとうございました!!また広尾町に行ってマドリンさんと一緒に作業したいです!!!!!!!!

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